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理系支援上司のサインを見逃さないこと

世の中には色々な上司がいる。理系の出世には、理系を支援する傾向が強い上司が重要である。そのような上司を理系支援上司と呼ぶ。

理系支援上司の存在理由は様々である。文系の理系支援上司も存在する。
文系は人当たりがよいが老獪な面もあり、理系の直情さをかえって好ましいと考える文系もいる。また、もともと理系的だった文系が偉くなった場合、理系的な部下を好ましく思うこともある。色々な理由はあるが、要するに理系が好きなタイプがあり、好きに理由はいらないということであろう。

理系の晩年でも書いたが、このような理系支援上司に運良くめぐり合った場合、一般には出世をしにくい理系的性格の人も引き立ててもらえる。しかし、ここでそれを当たり前だと思うと落とし穴が待っている。

たとえば、理系支援上司Bさんが理系のAさんを引き立てようと思ったとき、Aさんの理系的な弱点が障害になって、より地位の上の人に客観的にAさんの良さを説明できないことがある。その場合、理系支援上司Bさんは、Aさんの弱点が直ることを願う。そして、理系支援上司Bさんは、Aさんに、それとなくサインを出すのである。

そのサインにAさんが応えれば、理系支援上司Bさんは、「今はAさんは弱点があるけれど、直そうとしている。引き立ててあげよう」と思う。

しかし、しばしば理系人間は頑固である。頑として聞かないことがある。Aさんが弱点を改善しないと、理系支援上司Bさんは、「やっぱり理系人間はだめなんだな。見込みがあると思って引き立てようと思ったが、人間無理なことはあるものだ」と思ってしまう。そして、理系支援上司は去っていくのである。

Aさんに必要なのは、理系支援上司のサインを見逃さないことと、柔軟性だった。理系人間には多くの弱点があり、すぐには直らないが、直そうと努力している姿勢が、理系支援上司Bさんをつなぎとめるのである。

出世しにくそうな性格の典型的な理系人間でも、一生の間には引き立ててくれる人、支援してくれる人が現れるであろう。そのときに、理系支援上司のサインを見逃さず、素直さと柔軟性を見せることが重要であろう。

理系の晩年でも書いたが、理系支援上司が去り、相性の悪い上司に変わって初めて、前の上司が理系支援上司だったことに気づくことも多い。

人間は変わらないという人がいるが、典型的な理系人間が、徐々に変わり、10年もたつと昔の性格が分からなくなるくらい変わることがある。君子は豹変するのである。
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